カリスマのオーディション狂想曲
1990年7月2日 「ミス・サイゴン」日本公演の概要が記者会見で発表された。
1992年4月オープン、興行期間帝劇で18ヶ月ロングラン上演、
全役プロ・アマ問わずオーディション、すべてがスケールが違う。
帝劇の改装費10億円、年間興行収入100億円。チビリそうになった。
優秀な人材を短期間で集めなくてはいけない。
ロンドンのオリジナル・キャストもキム役は、難航した、ロンドンでも、ヨーロッパでも、アメリカでも見つからずオリジナルキャストに選ばれたのは、フィリピンのマニラでオーディションを受けた、18才のレイア・サロンガとモニーク・ウィルソンが選ばれた。
クロード・ミッシェル・シェーンベルク氏曰く「鋼鉄の喉と、鋼鉄の肺を持った女性を捜せ」。
僕たちのオーディション狂想曲が始まった。
まずは、全国から、応募者を募ることと「ミス・サイゴン」の名前を浸透させる作戦が始まった。
チラシ、新聞広告、雑誌広告、パソコンのない時代なので、ケント紙に、広告スペースを原寸で作り、ヘリコプターマーク(墨の書のように書かれたこのマークは、ヘリコプターと女性の顔が、デフォルメされています。)とタイトルと写植(印刷用の組文字)をペーパーセメントで貼り付けて、版下(印刷原本)を作る作業が毎日続き、チラシと日本全国の主要新聞の広告を作った。
チラシが出来上がると、街頭に出て、チラシを配る「チラシまき隊」が作られた。
リーダーは、僕だ。各警察署に道路使用許可願いを出し、5-6名の女性スタッフとともに、ヘリコプターマーク入りのそろいのTシャツで渋谷・新宿・池袋に出現し、オーディション募集のチラシを配った。
ある日おばあさんから「宗派はなんですか?」と聞かれた。
よほど怪しい集団だったのだろう。
ある日、ビリー先生(レ・ミゼのビリーズ・カフェでお馴染み)が、みょうちくりんなベストを持ってきた。
胸に薄いスピーカーがついていて、ポケットのウォークマンに接続すると「ミス・サイゴン」の曲が流れるのである。
「こんなの恥ずかしくて着れませんよ」というと、Fプロデューサーの「お前なら着れる」といわれて、みょうちくりんな格好で「チラシまき隊」は出動した。
初めの内ちらほら立ったが、締め切りの一週間前あたりから、履歴書と好きな歌をふきこんだカセットテープの入った応募書類が、郵便袋10袋がドガドガ毎日届けられた。
一万を超える郵便袋を見て、FプロデューサーとTプロデューサーとOKPはただ呆然と立っていた。
オーディションというものは、試験ではない。いかに役のイメージとその曲が歌えるかを試す場である。選曲は自由であった。今は、ミュージカルナンバーを吹き込んでくる人が多くなったが、当時は、オペラ、演歌、歌謡曲がほとんどだった。
各プロデューサーと演出部が手分けして、一万を超える曲を聴いた。
「◎田△蔵、52才、エンジニア役を希望、曲は兄弟仁義」という具合である。
「笑っちゃうよ」が口癖のFプロデューサーの手伝いをよくした。
「笑っちゃうよ」と手渡されたのが、キム役希望の女性、曲は、キャンディーズの「春一番」三人のコーラスである、「あなたは、どの娘」である。
「笑っちゃうよ」と聞かされると、意外と上手い、その後、「それでは歌ってください」上手いはずだ、歌の先生だ。
スタッフは、毎日歌を聞き続けた。みな不眠症になった。
そうして、書類選考で、絞り込んだ約1000名が第二次オーディションに進むこととなった。








コメント
宣伝のカリスマ様
この作品への思いが伝わってきました!
私は、まだ1回しか観たことがないので、今年は何度か行きたいと思います。
レミゼファンになって以来、すっかりミュージカル好きになってしまいました。
私にとって、日比谷界隈、特に帝劇は、観劇の思い出、たくさんのあたたかな思い出がつまった場所です。
観劇の日ではなくても、用事で近くに出かけた日は、なんとなく帝劇の前を歩いてしまいます(最新情報チラシを得るためでもありますが 笑)
これからも、多くの人の元気のミナモトであり続けて下さい☆
投稿者: 海(kai)ちゃん | 2008年03月25日 02:21
オーディションまでの「チラシまき隊」など、初演時の大変さが伝わってきました。
(当時、渋谷に通学していましたが、遭遇しませんでした。。)
あと、今まで聞きたいと思っていた「ヘリコプターマーク」について、知ることができて嬉しかったです。
投稿者: TOMO | 2008年03月20日 21:41
すごいですね!一万曲とは。
それだけのたくさんの思いがこの作品を今に伝えているんだなと、つくづく思いました。
投稿者: たまごん | 2008年03月18日 22:59
・・・これを読んだだけで、
泣きそうになりました。
ミス・サイゴンにかける熱い想いが、
すごく伝わってきます・・・。
なんか、感動しちゃってます★
同時のお写真が、歴史を感じさせますね。
素晴らしい舞台は、
素晴らしい情熱を持った方たちに支えられて、
作り上げられているんだと、
改めて実感したしだいです。
投稿者: smile | 2008年03月15日 01:01