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稽古場見学 特派員レポートその2

明日からの舞台稽古を前に、スタッフによる様々な準備は山場を迎えていますが、今日は昨日の続き、6月26日の東宝スタジオ稽古場見学、特派員レポートその2をお送りします。
森 優さんと、とんすけさんからの熱のこもったレポートです。どうぞ!

<特派員④:森 優さんレポート> 


6/26 せっかくの稽古場見学なのに天気は雨予報。でも、『ミス・サイゴン』のお稽古を見学できるのだからと、気分はワクワク・ドキドキ!
10:20 待ち合わせの場所に着くと、すでにスーツを着た方が数人とブログ特派員らしき女性が3人。おそるおそる声をかけてみると、「東宝です」とご挨拶があり、さらにテンションがあがります! そして、あともう1人の参加者を待って、タクシーに分乗し、いざ!東宝スタジオへ
住宅街を通りすぎ、あっという間に東宝スタジオにつくと、入口で入場パスを受取り、普段は絶対入れない関係者以外立ち入り禁止の門の中へ!!
まず、目に入ってきたのが、右斜め前に大きく建っている『ミス・サイゴン』のお稽古場のNo.7スタジオ!! そして、その向こうに少し年季の入ったかまぼこ型の別のスタジオ。左側にはアクターズセンター、その正面にプロダクションセンター。
再度、皆が集合したところで、今日1日の流れの説明があり、「まず、お手洗いに行っておきますか?」との質問に早くスタジオ内に入りたい私達は「大丈夫です!」と返事!(笑) その間にもNo.7スタジオの入口からは役者さんやスタッフさんたちが出たり入ったり(はやく入りたーい!!!)
そして、いざ!中に入ってみると、さすが帝国劇場の舞台がすっぽり入ると言われているスタジオだけあって、広い!広い!広い! 正面中央に、キムの部屋のセットが組まれ、上手袖には踊り子が乗るムーランルージュのセットなどなど、下手袖の奥にはホーチミン像などなど、上を見上げれば、巨大な鉄骨が組まれ、多数のライトが吊り下げられていました。さらに、舞台前にはパイプ椅子が何列にも並べられ、大勢のスタッフが行き来するなか、役者さん達が各自、発声練習やストレッチをしています。あ!あれはもしや!新妻聖子さんだ! あ!その隣には大きなマスクをしたソニンさん!(舞台の近くはほこりっぽいようで、他にもマスクをして喉を保護している方がいました) 衣裳を着ている人がいると思ったら、クリス役の原田優一さん!とトゥイ役の神田恭兵さん! ストレッチゴムをひっぱり筋トレをしているジョン役の岸祐二さん! そして、ピアノのかげに座ってストレッチをしているクリス役の照井裕隆さん!

11:05 きょろきょろとしていると、「発声しまーす!」の掛け声がかかり、ピアノにあわせて、ドレミファソファミレド~♪と発声練習が始まり、きれいだなーと聴きほれていると、いつのまにか、『ミス・サイゴン』の中の曲に! なんだか、さっそく、うれしくなりました(^^)。

11:10 スタジオ内の照明が消され、舞台上に照明が照らされます。(気がつくと、左側の壁に直径2メートル以上ありそうな大きな時計が投影されています! さすが、東宝!)。舞台に上がった新妻さん。そして、「ナイトメア」のシーンの稽古が始まります。ピアノの音が始まると、一瞬にして新妻さんの表情が“キム”にかわります! ああためて役者さんってすごい!って思いました。♪行くわ、さあ、行こう♪ときれいな歌声。そして、トゥイが登場して歌い出し、少しすると突然「ストーップ!」。(何?何?)と思っていると、演出家や通訳、演出補の方などが舞台に行き、キムの動きの確認んして、再度やり直し。今度はもう少し長くやってから、再度ストップ。今度はセットからおりる音のタイミングが違うようで、舞台下からソニンさんが「ぎ です」。トゥイの♪あいつらはうらぎったー♪の「ぎ」でセットからおりるとの事。「スタート」「ストップ」「スタート」「ストップ」「スタート」「ストップ」 セットからおりたら動かない、後ろへさがらない、歩かない、などなどと本当に細かく指示を出されていて、たいへんだな~と思いました(><)。何回も同じシーンを止め通しするのを未ながら、ふと気がつくと、上手の座席内におかれたピアノの前で、ソニンさんと照井さんが、舞台上の2人と同じ動きをやっているではありませんか! 実は、ソニンさんは今日はお休みの予定なのに、お稽古に来ているそうです。本当に努力家です。その努力があるからこそ、舞台の上で輝き、私達に感動を与えてくれるのですね。ますます、『ミス・サイゴン』の本番が楽しみになってきました。
舞台上では「ナイトメア」~「キム4」といわれるシーンへと稽古が進んでいきます。大使館へ逃げ込もうとする大勢のベトナム人。1人のベトナム人がなんとか塀を乗り越えたあとに、無情にもアメリカ兵による♪大使の命令、封鎖です♪の歌。そして、閉じられるフェンス。次に乗り越えようとしていたもう1人はベトナムに取り残されてしまう。ベトナム人の運命をわけた瞬間です。たったワンシーンなのに、皆さんの熱演に思わず泣いてしまいました。
ところで、この舞台は劇場の客席でみるより、かなり傾斜があります。まっすぐ立つだけでも大変そうです。また、舞台のセットは全自動で動いているそうで、一度動き出すと、人がぶつかっても止められないそうです。このシーンの稽古中にも、キムが後方へ追いやられるシーンの時に、「ヘリコプターの台があるから気をつけて」との注意に「菊地さんが(ぶつからないよう)受け止めてくれるそうです」と新妻さん。役者さん同士、事故の無いよう気遣いあっているんですね。

12:45 いつまでも見ていたかったのに、来ないように・来ないようにと願っていた見学終わりの時間がきて、後ろ髪を思いっきりひかれながら、稽古場を出ました。そして、お隣の建物の食堂でランチをご馳走になっていると、なんと!!橋本さとしさんがいらっしゃってくださいました! とても気さくな方で、誰よりもたくさん話をされるので、食べていたスパゲティがのびてしまい、「アルデンテが好きなのに」と言いながらも、またまた、おしゃべり。本当に楽しくたくさんのお話をして下さいました。
☆前回の『ミス・サイゴン』で1ヵ月ぶりに出演した時、登場した次のシーンでセリフ(歌詞?)を忘れ、ジジにむかって♪なななななななろ!♪と歌ってしまった事(その時ジジは涙目になっていたそうです!)
☆ヘリコプターが実際に飛んでいるのは日本だけという事。そして、日本でヘリコプターをとばせる劇場は帝劇と博多座だけとのこと。
☆博サイ会のイベントの時にガラスばりのエレベーターを使ってカッコ良く登場しようとしたのに、普通のお客さんも乗り込んできてしまい、非常にきまずかった事ナドナド(指揮者の塩田さんも話しに飛び入り参加してきて、「ソルト」「シュガー」と呼び合っていました)。

そして、最後に皆で記念撮影。そばでお食事をしていた、神田恭兵さんやアンサンブルの方たち、また、演出家の方ともパチリ! あっという間に過ぎてしまいましたが、本当に夢のような楽しい1日でした。

東宝の皆様、この度は、このようなすばらしい体験をさせて頂き、心から嬉しく思い、感謝のお礼を申し上げます。ありがとうございます。また、今後とも、私達ミュージカルファン・『ミス・サイゴン』ファンを楽しませて頂ける企画を楽しみにしています。是非・是非よろしくお願い致します。
本当に本当に、ありがとうございました。





<特派員⑤:とんすけさんレポート>


ミュージカルの稽古風景は、テレビのメイキング番組や雑誌、開幕してすぐのパンフレットで見るものだと思っていました。しかし、たまたまホームページの告知に気づき、たまたま申し込んだ特派員に当選するとは! 小雨降る6月とは思えない寒さのなか、興奮と緊張いっぱいで成城の東宝スタジオに向かいました。

この日、稽古が行われていたのは、実際の舞台のセットが組まれているという、310坪もある広いスタジオ。三谷幸喜監督の「マジックアワー」の守加護(すかご)の街のセットが組み立てられ、撮影が行われたのもここだとのこと。建物の高さに圧倒されながら、稽古場に足を踏み入れました。
スタジオの置くには、2幕・キムが暮らすバンコクの部屋のセットがすでに用意されています。右袖にはバンコクのキャバレーのセットが見え、それだけで「やってきたんだ!」と、気持ちが高まります。入ってすぐのところには長机数個、ピアノ、コントラバスがあり、音楽監督のビリーさん、指揮の塩田さん、歌唱指導の船橋さんはじめ、プログラムでよくお見かけするスタッフの方々が。センターには、演出家フレッドさんと振付家ジョディさんの席。その後ろに座らせていただき、見学です。帝劇だと1階S席センター後方といった位置でしょうか。
この日の稽古は、キム役 新妻聖子さん。
トゥイは神田恭兵さん、ジョンは岸祐二さん、クリスは原田優一さんで、まだ劇場では誰でも観たことのないキャスト。少し得した気分です。
そして、エンジニアは橋本さとしさん。

■再演だからといって妥協なく、さらに前へ

稽古は、演出補の方の仕切りで進められます。「ナイトメア」のキムの歌から始まり、トゥイの歌、サイゴン陥落の場面を経て、「アメリカン・ドリーム」の途中までを見学しました。
「ナイトメア」の最初の場面から通し、フレッドさんやジョディさんが気になる部分があれば、「Stop!」の声がかかります。稽古が止まると、フレッドさんやジョディさんが通訳さんとともに出演者のところに駆け寄ります。
「何人もだーっと駆け寄ってきて、いろんな指摘受けてると、みんなに責められているみたいな気になるんですよー(笑)」
と、橋本さとしさんが稽古昼休み中に教えてくれました。実際に、そのやりとりの様子は、少し遠くからでも近寄りがたいほどの真剣さが見て取れました。
場面が進む→Stop!→出演者に駆け寄る→同じ場面をやり直し→Stop! …… を繰り返して、細かく役者の表現や動き、タイミングなどを調整していきます。それは、前回出演していた新妻さんや橋本さんの場面でも変わりません。同じことをやっているはずなのに、なぜそんなに細かくやりなおすのでしょうか。
「例えばエンジニアというのは、お客さんといちばん近い役。お客さんが入って演じ続けていると、本番中どんどん自分なりのアレンジが入ってしまう。私の場合、観ている方に喜んでいただきた、笑わせたい!と思って演じていると、演出家曰く“Too much!!”な状態になるので、それを修正し、さらによくする作業は欠かせません」(橋本さん)
つまり、客席に座っている私たちも、実は作品づくりに大いに加わっているということ。客席にいると舞台上は遠い存在のような気がしてしまいますが、少し出演者の方々が身近に感じられました。
橋本さんが言う「さらに良く」ということは、ほんの数分の稽古を見ているだけでも実感できました。
最初は冷静に稽古の進行を観ていたのですが、何度も繰り返したのちに、ナイトメアからサイゴン陥落まで通したときのこと。クリスの銃をかかえて叫ぶキム、無念のうちにヘリコプターに乗せられてしまうクリス(セットの都合上、ヘリコプターはなく、音響だけでしたが)の姿に思わず涙が。演出補の方の、「はいっ、休憩にしましょう」の声を聞いて初めて、あ、ここは帝劇じゃなかったと気づくほどの迫力だったのです。

■『ミス・サイゴン』への熱い思いに心打たれる

中央のセットでの稽古を観ていると、ふとピアノの向こうの暗がりで音楽に合わせて動く影が。よく見ると、セットの中で動く新妻さんと同じ動きをしています。キム役 ソニンさんでした。
稽古場を出たあとに東宝の宣伝担当の方に聞くと、実はソニンさんは稽古お休みの日だったとのこと。キム4人のなかで初めてなのはソニンさんだけであることを思い出し、その必死な横顔に合点がいきました。
前回の公演のときも、あるキム役の方は誰よりも早く稽古場に入り、毎日のように歌を訓練していたそうです。そして、しばらくしてからのお稽古で、「えっ、あのキムは誰だ!?」と、歌だけ聴くと誰だかわからないほど変わっていたので驚いたとのことも聞きました。
つい、私たちは新しいキャストに対して、「誰のほうがいい、まだまだだ」なんて感想を軽い気持ちで勝手に言い合ってしまうものです。プロであれば、そう言われても当然かもしれません。しかしこの話を聞き、ソニンさんの姿を見ていると、キャストの方々がどんなに大きく真摯な思いで、この『ミス・サイゴン』に向き合っているのかが、心に強く響いてきました。その思いを知って、ただ批判的にではなく、温かい気持ちで帝劇の『ミス・サイゴン』を観たいとも。
そのあと、キムがエンジニアに自分の決意を匂わすシーンを、新妻さん、ソニンさん2パターンで観ることができました。同じシーンなのに、2人の表情は異なります。自分の決意の固さを示すような力強い新妻キム、まだ迷いはあるが、決めなければいけないという思いがにじむソニンキム。きっと、帝劇では4者4様のキムが観られるんだろうと、ますます公演が楽しみになってきました。きっと、自分の手持ちチケットが増えることでしょう。

■バラバラに見えるけれど、目標は1つ

稽古場だからこそ見られた風景をもうひとつ。

役者さんが演出家や振付家からの指示をもらっている間、すぐ目の前にある長机では、ビリーさん、塩田さん、稽古ピアニストの方々をはじめ、音楽関係のスタッフは何か細かいチェックを繰り返しています。途中で入った10分ほどの休憩中には、装置のスタッフさんたちが何かセッティングをしたり、チェックをしたり。広い稽古場のなかで、役者さんや演出家だけではなく、スタッフの方々がばらばらに動いています。
けっこう皆まとまりないんだなぁと不思議な感覚で見ていましたが、当然ながらそこにいる人たちは『ミス・サイゴン』という1つの作品をつくるために集まっているわけです。私たちが観るのは、舞台上で役者さんたちが繰り広げる世界。その世界は、実は演出家、振付家はじめ、非常に多くのスタッフさんたちの力が凝縮して、爆発したものなんだ!ということに、いまさらながら気づかされました。

稽古場見学でいちばん感じたのは、何よりもよい作品をつくろうという熱い熱い熱意でした。プレビューまで1週間を切りましたが、『ミス・サイゴン』にかかわる皆さんの思いがどんな形で帝劇に現れるのか。楽しみでなりません。稽古場見学が終わった後、もちろんチケットを追加してしまいました……。

最後に、こんな貴重な体験をさせてくださった東宝の方々に心より感謝いたします。

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